SRF-JRMCが米海軍初となる日本語による第三者介入訓練を行う

文・写真:ジョイス・ロペズ、広報専門職

米海軍艦船修理廠および日本地区造修統括本部佐世保分所(2016年7月13日)―米海軍艦船修理廠および日本地区造修統括本部(SRF-JRMC)の主導のもと、「第三者の介入(BI2F)」の訓練を今回初めて日本語で行った。5日間で計8回、2時間半に及ぶ訓練は、佐世保艦隊基地隊にある部隊分所施設の日本人監督者ならびに一般従業員全員に対して行われた。

2016年7月12日、米海軍艦船修理廠および日本地区造修統括本部(SRF-JRMC)の部隊評価チームのメンバー、鹿島謙一さんが日本語で行われた「第三者の介入」訓練において、佐世保分所の従業員たちに「有害行動の連鎖」を類別して説明する。(写真:ジョイス・ロペズ、SRF-JRMC広報専門職)

2016年7月12日、米海軍艦船修理廠および日本地区造修統括本部(SRF-JRMC)の部隊評価チームのメンバー、鹿島謙一さんが日本語で行われた「第三者の介入」訓練において、佐世保分所の従業員たちに「有害行動の連鎖」を類別して説明する。(写真:ジョイス・ロペズ、SRF-JRMC広報専門職)

SRF-JRMCは、最先端の技術力を駆使し、艦船の修理及び近代化を太平洋米海軍部隊、米太平洋艦隊に提供し、第七艦隊の艦船を常に機能できる状態に保っている。

「現時点では我々部隊の海軍軍人全員がBI2Fの訓練を成功の裡に終了しています」とSRF-JRMC司令官ギャレット・ファーマン大佐は話す。「しかしながら、この部隊は他の部隊と比べると日本国籍の従業員が80パーセント以上を占め、その大半が造修に関係する工場や艦船上の工事に関わっているといった特徴があります。」

本部隊は巨大な米海軍組織として位置づけられ、2,500名以上の日本人従業員と400名以上の米海軍の軍人ならびに軍属とで成り立っている。佐世保分所だけでも、300名以上の日本人従業員を抱えている。

「そのために、第三者による介入やそうした意識が、米海軍の軍人だけでなく、SRF-JRMCの各々一人ひとりにとって必要不可欠であるのです。皆が他人に敬意を抱くような職場環境を促進し、安全上の事故やパワーハラスメントを含む、職場での不正行為をなくすために重要な役割を担っています。」

「止められる行為もありますが、そうした行為の初期段階ではどのようにしたらよいかわからない場合も多いのです」と部隊による機会均等担当責任者で、部隊評価チーム(CAT)のメンバーでもある、ドミニク・テイラー電子上級兵曹長は言う。「このような訓練を行うことで事件となりうる懸案事項や(パワーハラスメント)の申し立てを全体として少なくなると考えています。そして、従業員の人たちが手遅れになる前に『介入を行う』ことができるようになると思います。」

2015年7月には、ファーマン大佐の指示のもと、部隊支援課ならびに改善推進室の翻訳スタッフが、BI2Fの資料を日本語に訳す翻訳プロジェクトを支援した。このプロジェクトには訓練の実施ガイドや補遺として6つのビデオスクリプト、そして字幕作成なども含まれた。

3名の日本人進行役のひとりであり、CATのメンバーでもある鹿島謙一さんはこう話す。「日本の企業でも第三者の介入訓練を行っているところもあります。しかし、SRF-JRMCでの訓練は海軍中心でアメリカでの文脈や価値観を伴う、アメリカ人向けの物となっています。そのため、言語・文化の壁を予期していました。」

鹿島さんは改善推進室の管理分析職、藤原紀子さん、部隊支援課の通訳-翻訳職の溝呂木文忠さんとともにセッションを進行した。

CATでは、文化的な障壁を予期していたため、3名の進行係は、すべての従業員が、部隊におけるその職位や職種、年功者であるかどうかにかかわらず、誰でも「リーダー」になる素質があることに焦点を当てた。

「和が重んじられるため、日本人の大多数は内気で、物事に介入することに躊躇する傾向があります」と、日本の文化の文脈に即した「リーダーシップ」の語感について尋ねられた、シップスーパーインテンデントの中島健太さんは話す。

セッションごとに、鹿島さんは補足のビデオを見ている従業員のグループの示すパターンに注視した。「我々日本人従業員たちが内容を理解するかどうか疑問を抱いていました」と鹿島さんは話した。「でも、ふたを開けてみると、彼らは素材をうまく受け入れてくれたと思います。ほとんどの日本人が退屈しているようには見えませんでした。ビデオがプロのビデオ制作者によるものだったため、視聴者がどのような人であれ、注意を引くことができたのだと思います。」

「字幕なしのビデオでは、日本人従業員が、自分たちの造修工場やオフィスでの状況を十分に理解するのは簡単ではなかったと思います。」

コミュニケーションにおける文化的障壁の橋渡しをするために、部隊評価チームは、くじ引きで参加者の中から発言者を決める「第三者介入ビンゴ」を用い、開かれた議論の場に参加するよう求めた。

「これまで経験した部隊全体の訓練では、アメリカ人は議論の中の疑問について自ら発言する傾向がありました。日本人の場合、同僚の前や研修生たちの前では、あまり自分から話そうとはしません。今回、ビンゴの導入はうまくいきました。答えを口に出す前に、考え込むような参加者もいましたが、皆、素晴らしい回答を返してくれました。それは、彼らが素材を自らの頭で考えている証でもあるのです。」

2016年7月12日、米海軍艦船修理廠および日本地区造修統括本部(SRF-JRMC)佐世保分所の造修部の従業員たちがスクリーンに映し出された「第三者の介入」訓練ビデオのクライマックスを注視する。米海軍に長い間存在するしごき問題に題をとったこのビデオは海軍軍人が同僚たちにしごきを受けるというシナリオの一例を示した。。(写真:ジョイス・ロペズ、SRF-JRMC広報専門職)

2016年7月12日、米海軍艦船修理廠および日本地区造修統括本部(SRF-JRMC)佐世保分所の造修部の従業員たちがスクリーンに映し出された「第三者の介入」訓練ビデオのクライマックスを注視する。米海軍に長い間存在するしごき問題に題をとったこのビデオは海軍軍人が同僚たちにしごきを受けるというシナリオの一例を示した。(写真:ジョイス・ロペズ、SRF-JRMC広報専門職)

セッションの終了時毎には、日本人の進行係と従業員らが一堂に礼を交わし、「ありがとうございました」という、厚いもてなしに対する感謝の表現を取り交わした。自分から進行係や評価チームのメンバーに歩み寄って、感想や後から思いついたことなどを話す人たちもいた。

「実際には、問題やハラスメントを報告する方法が1つではないことが今わかりました」と言うのは、佐世保分所の安全室、エンジニアリング専門職の久田和寛さんだ。「介入する第三者として、自分の言うことが正しいのかどうか、いつも確かなわけではありません。しかし、前よりは自信がつきましたし、状況を処理するのに、間接的に介入する方法も知ることができました。」

この訓練は、1人の参加者が自分の働くグループにおける生活の質をいかに向上させることができるかについての着想を与えることにもなった。「昼食の時間を使って何でも話し合う機会を設けて、同僚たちとくだけた会話をすることもできますね」と佐世保分所安全室、安全検査職の今泉徹也さんは話した。「より深く意思疎通ができれば、お互いのことをよりよく理解することもできます。そうすることで、皆の受け入れ可能な範囲や価値観などをよりよく判断できます。」

「そうすれば、お互いに敬意を抱くことも可能です。つまり、第三者の介入が必要な場合、最小限の抵抗感で、歩み寄る方法についてよりよい考え方ができるようになりました。というのも、その人について少しだけ理解が深まったからです。」

SRF-JRMCの理念ならびに機会均等では、従業員が最も重要な財産であり、「成功の要」であると明言している。つまり、謙虚な指導とお互いへの敬意が、従業員全員、すなわち管理業務から仕事のプロセス、訓練のプログラムにわたるまでを導く方法として、はっきりと明言されている。

「米国軍属であれ、軍人、契約従業員、日本人従業者であれ、SRF-JRMCでは誰もが同一の基準で許されるもの、重要であるものについて定義されているのです」と部隊支援課長でCATメンバーの明石アリシアさんは言う。この基準は部隊の価値の核心に位置し、我々部隊の理念や基本方針や施策にも広く浸透している。

SRF-JRMC部隊評価チームは、BI2Fの訓練の目的を、近年日本のさまざまな企業や政府関連の組織などで発生している、増加傾向にあるパワーハラスメントの訴えや事例に対処する方法として位置づけている。

日本の英語ウェブニュースメディア、「ジャパン・トゥデイ」によれば、日本の厚生労働省の報告では、2010年には全国の労働関連の相談所では40万件の電話による相談が寄せられたという。同省によると、パワーハスメントの被害に関連した助言の求めや相談の件数は増加傾向にあるという。

県の労働局での内訳を調べると、2002会計年度における事例の5.8パーセントを職場でのいじめやハラスメントが占めている。その10年後には、事例は17パーセントに増加し、日本ではパワーハラスメントが最も一般的な相談内容となっている。

独立行政法人、労働政策研究・研修機構、副主任研究員である内藤忍氏による、2013年に提出されたレポート“Workplace Bullying Japan”(英文)では、職場でのいじめやハラスメントが原因となった自殺を含む、心理的・精神的外傷に顕著な増加が見られるという。このような事例とともに、数多くの職場におけるハラスメントに対する裁判所が行った裁定を受け、厚生労働省はさらなる措置をとることになった。

2009年、同省は、労災の認可の過程で、パワーハラスメントを職場の公衆衛生の問題の原因と認定した。これにより、日本におけるパワーハラスメントの被害者は、医療費の金銭的な援助の申請ができるようになり、加害者や企業に対し、民事裁判において過失を問うこともできるようになった。

全国的な問題となっていることを受け、2012年、厚生労働省は「パワーハラスメント」を正式に定義し、政府がこの問題に対処する一歩を踏み出すことになった。

「SRFのメンバー全員がBI2Fの訓練に参加し内容を十分理解することで、職場やその文化が悪化する機会を得る前に、しかるべき監督者に問題を提議することに必要な知識を100パーセント備えた従業員を擁することができます」とファーマン大佐は言う。

「こうした展望は、2016年の部隊戦略エリアの1つである、全従業員を対象とした従業員・リーダーシップ育成に対する投資とも整合しています。」

佐世保分所の従業員全員のBI2F訓練を終了した後には、今秋、米海軍横須賀基地司令部本部にあるSRF-JRMC本部においても、残りの米国軍属や日本人従業員に対し訓練を行う予定だ。

参考資料:

 

http://www.jil.go.jp/english/reports/documents/jilpt-reports/no.12_japan.pdf

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