ボランティア月間:アメリカ人のボランティアリズム再考

文:礒部良、FLEACT横須賀広報課

「誰かがそういう記事を書かなくてはならない。ゴミ集めとか雪かきとかと同じことだ。だれかがやらなくてはならないのだ。好むと好まざるにかかわらず。僕は三年半の間、こういう文化的半端仕事をつづけていた。文化的雪かきだ。」 

村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』

 

4月、米国では国民ボランティア月間を祝うことになっている。全国の各コミュニティーでは、ボランティア活動の意義が評価され、力づけを与えられ、推奨される。歴史的に、横須賀米海軍施設でも、数多くの団体が児童施設を訪問したり、文化交流に参加したり、精神的障害をもつ人たちの施設を支援したりするなど、ボランティア活動を行ってきた。3月11日は日本北部を襲ったマグニチュード9.0の地震から5年を迎え、震災後に行われた米軍や軍属の救援活動に流れるアメリカのボランティア精神が被災者らに広く認知された。

アメリカのボランティア精神

ボランティアはキャリア育成や仕事の点でのメリットもあるが、社会的なネットワークづくりや、個人的な自信の形成にも役立つ。最近の研究によると、健康促進や自尊心の意識化、さらには長寿にも関係があるという。

艦船修理廠および日本地区造修統括本部(SRF-JRMC)と横須賀市の団体が集めた支援物資が横須賀グレイスバイブルチャーチ提供のトラックに積まれる。2011年3月27日、この教会と横須賀のボランティアたちが物資を仙台まで送り届けた。(写真:SRF-JRMCコーポレート・コミュニケーション・ブランチ提供)

艦船修理廠および日本地区造修統括本部(SRF-JRMC)と横須賀市の団体が集めた支援物資が横須賀グレイスバイブルチャーチ提供のトラックに積まれる。2011年3月27日、この教会と横須賀のボランティアたちが物資を仙台まで送り届けた。(写真:SRF-JRMCコーポレート・コミュニケーション・ブランチ提供)

「[ボランティアは]研究分野として発展しつつあります」とハーバード・T・H・チェン公衆衛生大学院のエリック・キム主任研究員は自身の「ボランティア活動は健康に良いのか?」という論文で述べている。「仮に説明の一つして挙げられるのは、人生の目標意識を高めるということがあるでしょう。それにより前向きな結果として、健康の向上へとつながる原動力となると考えられます。ボランティア活動は社会的な絆を強めますし、それが広範囲にわたり健康へとつながるのです。

キム研究員によると、ボランティア活動を共にする人たち同士で物的資源を共有したり、仕事や医療機関に出かける際に車をシェアするなど、さまざまなツールにおいて、支援をし合うことが可能だという。社会的なネットワークからは健康の向上に永続的な影響与える、感情的・精神的な支援も得られる。

さらに、JPモルガン・チェース・グローバル慈善チームのマイケル・ハバーマン北東地域担当局長による「ボランティア活動はなぜビジネスにとって有益なのか」という記事によれば、ボランティア活動は「自身の“居心地のいい領域”の殻を打ち破り、仕事場では得られないスキルを形成する」という。新しい環境や課題、機会に身を置く機宜が得られ、プロジェクト管理や目標設定、コミュニケーションや評価能力など、ソフトな対人間的な価値あるスキルを磨くことができるのだ。

英国のチャリティー団体チャリティーズ・エイド財団による世界寄付指数では、世界で最も援助を行い、人を支援している国として、米国を継続して上位に位置づけている。2014年にはミャンマーとともに1位、2015年は2位の座を保持している。

フランスの哲学者で貴族でもあるアレクシ・ド・トクヴィルが『アメリカのデモクラシー』(1835年、1840年)で述べたように、米国は「参加する者」たちの国である。この著作でトクヴィルは、アメリカ人たちのボランティアや協同作業に対する情熱がアメリカ市民社会の根幹に存在すると、たびたび熱心に言及している。

「トモダチ作戦」:東日本大震災から5年

2011年3月11日、マグニチュード9.0の地震が日本を襲い、のちにこれは「東日本大震災」と呼ばれることになった。地震に続き、津波が日本北部の漁業や農業など、自然資源豊かな東北地方の広い地域に壊滅的な被害をもたらした。不明者を除き、関連する災害で21,000名以上の犠牲者を出している。

2011年の東北の地震後、米海軍の軍人たちは「トモダチ作戦」と名づけられた救援活動を行った。横須賀基地司令部(FLEACT横須賀)の部隊から、また艦船修理廠および日本地区造修統括本部(SRF-JRMC)からもボランティアたちが救援活動に参加。

地震の翌週、SRF-JRMCのスパウゼズ・クラブ(配偶者団体)とFLEACT横須賀は、乾燥食品や缶詰、冬物の衣料品や衛生用品を震災被害者のために寄付を募った。ボランティアたちはまた、人的移動や従業員や家族、部隊のために、必要な情報の提供などの自発的米軍支援避難(VMAD)を手配し、被害者のために寄付を募り、長期の修理工期にあった艦船を含む出航をサポートした。

今日まで、SRF-JRMCは地方共同体や受入国に対して尽力・努力・貢献する、数えきれない機会を提唱・奨励している。

SRF-JRMC内の団体によるボランティア活動

ボランティア月間、米日の友好を記念するにあたり、継続して地方自治体に慈善活動を行っているSRF-JRMCの団体を取り上げることにする。

SRF親睦会:1,700名を超える基本労務契約(MLC)の日本人従業員を会員とする。月ごとに会費を徴収し、毎年部隊の新年会や夏の盆踊り大会の設置や後援を行っている。親睦会はまた、地域の精神・身体障害者のための入居・サービス施設、三浦しらとり園における毎年恒例の冬のパーティーのために寄付金を募り、催しの調整を行っている。パーティーでは、季節の祝歌を歌ったり、動物の着ぐるみをまとい、しらとり園の入居者や家族を楽しませている。

SRF-JRMCウォードルーム:この団体の使命はリーダシップの育成、仲間意識の促進、SRF-JRMCの名声への貢献である。現在12名の現役もしくは退職した米海軍士官から成り、SRF-JRMC内の団体やFLEACT横須賀、横須賀市の慈善活動を主催している。しらとり園もまた、景観維持や冬のパーティーへのプレゼント購入援助のために、SRF親睦会に毎年寄付を行うなど、ウォードルームのメンバーたちのさまざまなボランティア活動の恩恵に授かっている。

兵曹長協会(CPOA):この団体の使命はプロの卓越さを確実なものとし、友愛を育み、メンター(指導者)を養成、善き指導力を発揮することにある。現在、海軍の現役あるいは退職した兵曹長(ペイグレードE-7からE-9)40名が在籍。年間を通じ食べ物を販売し、しらとり園援助のための資金調達を行ったり、高等教育を望む高校生や大学学部生のための兵曹長奨学基金(CPOSF)を支援している。年々、高等教育の学費は高騰しており、CPOSFの役員会の使命は、資格を有する家族らを対象に教育の機会を支える基金を設け、拠出している。同様に、CPOAの資金調達活動は、SRF-JRMCのMLC従業員、米海軍の軍人、軍属や契約従業員らに社会的・文化交流的な機会を提供している。

ブルー・カラー・アソシエーション(BCA):BCAの使命は部隊のペイグレードE-6以下の(現役もしくは退職した)米海軍の軍人の関係性構築にある。部隊や組織についての、開かれた討議の場でもある。さらに、本団体は、さまざまな式典や活動を計画・実施し、会員・部隊・地域共同体の士気や福祉の維持に貢献している。タコスやホットドッグ販売を通じて資金調達を行い、その収益はすべて部隊の冬のパーティーやしらとり園の冬のパーティーをはじめとする部隊のイベントの支援に充てられている。SRF-JRMCウォードルーム、CPOA、福祉リクレーション委員会とともに、BCAもまた、地域共同体の数多くの催しを直接支援している。

福祉リクレーション委員会:会員はすべての米海軍の軍人、軍属、日本人MLC従業員に開かれている。従業員誰もが、地域共同体や部隊を支援する委員会のミーティングに参加が可能だ。その使命はSRF-JRMC従業員 の士気と福祉を支援し、文化間の理解と米日の家族、友人たち、共同体の友好関係を支援することにある。同団体は食べ物販売による資金調達活動を支援し、毎年3月に開催されるスプリング・フェスティバルなど、FLEACT横須賀の基地全体のイベントの設営を行っている。収益はまたSRF-JRMCの冬のパーティーや、毎年の子供のための冬のパーティー、SRF-JRMC親睦会や地域の共同体関連のイベントに充てられ、こうした催しは部隊全体の米日の従業員や家族が参加することができる。

「[ボランティア活動により]仲間意識を見出すことができました。コミュニケーションがすべてです。位の高い人員を共通の目標に向かって指導することも学びました――それは簡単ではないですけれども」と語るのは、兵曹長協会のメンバー、ドミニク・テイラー電子上級兵曹長だ。

「みんなそれぞれ自分のやり方があるものです」とテイラー上級兵曹長は付け加えた。「資源をどのように用いるか、そして人に耳を傾ける。というのも人は自分の経験に裏付けられた独自のやり方をもっているからです。他の人の視点があれば、自分が気づくことのなかった、別の情報を得られますし、時間短縮にもなります。自分には役に立たないこともありますが、それを考え、情報に基づいた意思決定ができるのです。」

 

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